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28/04/2017
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シュミット元西独首相の死去を受けたユンカー欧州委員会委員長の声明

EU News 326/2015

2015/11/10
STATEMENT/15/6047
ブリュッセル

<日本語仮訳>

欧州委員会のジャン=クロード・ユンカー委員長は本日、以下の声明を発表した。

「ヘルムート・シュミット氏死去の報に胸がいっぱいになった。彼は私にとって友人であり、私個人も、欧州全体も彼の死を心より惜しんでいる。なぜならば、我々は非常に特別な人物、その政治的勇気が多くの人々を奮い立たせた人物を失ったからである。

1世紀近くにわたり、欧州大陸の辿った歴史が彼を作り上げ、統合欧州を信じる欧州人に仕立てた。これに導かれ、彼は旧西ドイツの首相としてドイツと欧州の歴史と運命を形作るのを助け、彼と、フランスのヴァレリー・ジスカールデスタン大統領との親密な友情のおかげで、両国関係は書面上のみならず、あらゆるレベルにおいて、深化したのである。両氏は欧州通貨制度を創設し、ユーロ実現への道筋をつけた。

シュミット氏は自らを、欧州理想主義者ではないと言い切った。そうだとすれば、彼の欧州に対する熱意は、欧州統合が高尚な理想主義者ではなく、欧州現実主義者が進める取り組みであることを証明している。彼は、他に類を見ないほどの情熱をもってこの大陸の各国間の距離を縮める努力をしたが、その理由の一つには、国際舞台で大きな役割を果たすには、力を合わせなければいけないことを常に理解していたからである。彼は幾度となく共通の経済政策を求めたが、同時に常に、欧州統合に向けた決意は『ギブアンドテイク』の精神が必要であり、時には人々の耳に痛い真実を伝えることを意味すると認識していた。

首相としての任期が終わっても、シュミット氏は責任感を失うことなく、政治的な正直さの模範を示し、その高潔さにより、氏が政治的議論に参加すると、それはかなりの重みを持つこととなった。欧州が妥協策を出すまでにかかる長い時間に対する彼の短気には――それは多くの場合もっともであったが――時には当惑させられたが、欧州を前進させるにはいつも有益であった。シュミット氏の勇気は、特にある点において特筆すべきであった。それは、未来に向けて考える勇気である。その勇気こそが、欧州に関しては決して諦めてはいけないという、我われに対する彼のメッセージなのである。

彼と親しかったすべての方々に哀悼の意を表したい」

原文はこちらをご覧下さい(英語)。
http://europa.eu/rapid/press-release_STATEMENT-15-6047_en.htm?locale=en

File Photo: First meeting of the Committee for the Monetary Union of Europe. Valéry Giscard d'Estaing, Jacques Delors, and Helmut Schmidt. Date: 18/12/1986 Reference: P-006383/04-22 Location: Brussels - EC/Berlaymont (C)EU, 1986 URL