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社会学者にも魅力的な欧州研究会議の助成金

EU News 304/2014

2014/07/11

<日本語仮抄訳>
どうすれば富がより平等に地球上に行き渡るようにできるのか? また、家族、所得、芸術、文化、社会的少数派および天然資源へのアクセスといった、さまざまな不平等の側面に対処するために社会学はどのような役割が果たせるのか? これらの重要な課題を議論すべく、著名なフランスの社会学者で欧州研究会議(ERC)の一員であるミシェル・ウィヴィオルカ教授は、ERC助成金を受けている他の研究者たちと共に、国際社会学会(ISA)が2014年7月13日~19日に横浜で開催する第18回世界社会学会議に参加する。

世界会議開催を前に、ウィヴィオルカ教授は、「社会科学・人文科学研究への資金拠出が各国で厳しくなってきた今日、社会学のような学科にも相当な支援を提供すべきと考える数少ない資金提供機関のひとつがERCであることを誇りに思う」と述べた。
2007年以降、ERCは全科学分野で4,500ものプロジェクトに助成金を出してきたが、そのうち社会科学や人文科学分野のプロジェクトは約650件、社会学に絡むものに至っては50件にも満たない。

「現代の社会的課題を理解するには社会学が必須となったが、ERCの助成金制度に占める社会学者からの申請の少なさには懸念を抱いている。ERCは、世界最高峰の社会学者にもその助成金を是非とも交付したいと考えている。こういう理由からも、我々は今年、研究活動の良き土壌がある日本で開催の国際社会学会世界会議に出席しようと考えた」と教授は続けた。

過去の助成金需要からみると、ERC予算のうち25億ユーロ以上もの資金を、2014年から2020年までの欧州連合(EU)の新たな研究・イノベーション計画であるホライズン2020において、社会科学・人文科学分野の優秀な研究プロジェクトに提供することが可能だ。発足以来、ERCはEUもしくは関連国に研究拠点を置く日本国籍の研究者の14件のプロジェクトに総額およそ2,000万ユーロを助成してきた。

ISAの元会長でもあるウィヴィオルカ教授は、7月16日(水)に開催される会長セッションにパネリストとして登場する(詳細はこちら)。

国際社会学会で発表されるERC研究成果
今回の世界会議には多くのERC助成金取得者が出席し、幅広いテーマについて発表を行う。
その一部を以下に取り上げる。

• 欧州と東アジアのいくつかの都市に見られる住居をめぐる慣習や世代間の不平等(オランダ・アムステルダム大学のリチャード・ロナルド博士)
• 経済成長期と不況期それぞれにおいて、親の失業が子どもの社会的・経済的地位に与える影響(フィンランド・トゥルク大学のヤニ・エロラ教授)
• 親になることの意識と出産前後のドイツ女性の経済的自立(ドイツ・ゲーテ大学のダニエラ・グリュノウ博士)
• 「ロンドンを占拠せよ」やスペインの「5月15日」デモなどの社会運動に関わる人々の政治的行動と動機(オランダ・アムステルダム大学のベルト・クランデルマンス教授)
• 過去40年における英国社会の家庭と仕事の新しい関係と、冠状動脈疾患や2型糖尿病といった慢性疾患の発生率との関連(英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのアン・マクムン博士)
• 現代社会におけるメディアと美容業界が伝える「美しさ」の認識について(オランダ・アムステルダム大学のERCチームメンバー、ミカエル・デイネマとシルビア・ホラ)

世界会議でのERCにかかわるプログラムはこちら
なお、ERCに関する特別説明会を7月19日(土)に開催する。詳細はこちら
ERCブース(E6番)も会場に設置される。

参考資料: ERC in a nutshell
ERC Country sheet