ホームニュース・出版物ニュース2016> 国際的な海洋ガバナンス:安全・安心で汚染のない、持続可能な形で管理される海洋に向けたEUの貢献

国際的な海洋ガバナンス:安全・安心で汚染のない、持続可能な形で管理される海洋に向けたEUの貢献

EU News 360/2016

2016/11/10
ブリュッセル

<日本語仮抄訳>

世界の海洋経済の規模は1.3兆ユーロと推定される。海洋をよりよく保護し、持続可能な形で管理できれば、気候変動、貧困、食料安全保障などの地球規模の課題に効果的に対応することが可能になる。

欧州委員会と欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は本日、安全・安心で、汚染のない、持続可能な形で管理された海洋に向けた行動を提案する共同コミュニケーション(政策文書)を採択した。世界舞台において強力な役割を果たすEUとして、分野横断的でルールに基づく国際的なアプローチを土台としたよりよい海洋ガバナンスに向けた検討課題を提示する。

本日の提案は、国際海洋ガバナンス枠組みの改善、海洋に対する人間の圧力の軽減と持続可能なブルーエコノミーの条件創出、国際的海洋研究・データの強化という3つの優先分野における14の行動を示している。

1.  国際海洋ガバナンス枠組みの改善
既存の海洋に関するルールは、例えば各国の管轄を超える問題への対応や、2020年までに少なくとも沿岸域および海域の10%を海洋保全地域とするなど、国際的に合意された持続可能な開発目標を実施するために、さらに発展させ、よりよく執行されなければならない。EUは、実施を確実にするために国際的なパートナーと協力し、2017年10月にはこれらの約束に基づいて作業を進める国際海洋会議「Our Oceans」を主催する。また、2018年までに欧州委員会は各国の管轄下にある地域の天然資源の探査と開発に関する指針を発表する。

EUは、新設の欧州国境沿岸警備機関、EU海洋安全機関および漁業管理機関の能力を最大限に活用しつつ、その海洋安全保障戦略に基づき、海賊行為や人身・武器・麻薬の不正取引といった海洋安全保障上の脅威やリスクの削減のためにパートナー国と協力する。さらにEUは、地中海やインド洋で展開される共通安全保障・防衛政策のミッションやオペレーションを通じて大いに関与している。EU海軍部隊「アタランタ」作戦はソマリア沖において海賊対処活動に積極的に関わっている一方で、同部隊の地中海「ソフィア」作戦は密輸業者や人身取引業者のネットワークの破壊を目指して展開しており、これまでに地中海中南部において2万8,000人以上もの命を救ってきた。

2.  海洋に対する人間の圧力の軽減と持続可能なブルーエコノミーの条件創出
パリ協定が発効したのを受け、欧州委員会は2016年11月12日にモロッコ・マラケシュで開催中の第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)の「海洋デー」をはじめとする、各国の、また国際的な約束を実行に移すための海洋に関連する行動を強化するよう取り組む。海洋は、世界の二酸化炭素排出の25%を吸収するため、重要な気候調整弁となっている。海洋の水温上昇や酸性化を規制する行動が取られなければ、海洋が気候を無秩序化させるリスクが起こりうる。

違法・無報告・無規制(IUU)漁業への対策はEUにとって優先事項である。全世界の漁獲量の少なくとも15%(年間80億ユーロから190億ユーロ相当)は違法なものだ。IUU 漁業との闘いの先頭に立つEUは、固有の船舶識別制度や世界規模の登録・漁獲証明書発行機関の創設ならびにIUU漁業に対する国際刑事警察機構(インターポル)の役割の強化を含む、多極的な行動を促進する。欧州委員会は、衛星通信を用いて世界中の違法漁業を監視するパイロットプロジェクトを始める。

海洋ごみもまた、大きな脅威である。「循環型経済行動計画」の下、EUは2017年までにプラスチックに関する戦略を提案する。同戦略により、2020年までに海洋ごみを最低3割削減させることに貢献する。

欧州委員会は、2025年までに海洋空間計画に関する国際指針に向けて取り組み、EUの研究・イノベーション枠組み計画「ホライズン2020」および環境・自然保護・気候変動に関するプロジェクトに資金援助をする「LIFEプログラム」を通じて、世界各地で海洋保全地域を拡大する一助となる。

3.  国際的海洋研究・データの強化
海底の約9割は未だに地図化されていない。経済活動に利用されているのはその3%以下である。海洋資源を持続可能な形で管理し、人間活動の圧力を低めるには、より多くの理解と正当な科学的知識が不可欠である。EUのブルーデータネットワークとも呼ばれる欧州海洋観測・データネットワークは、100以上もの海洋研究機関からのデータを提供しており、誰でもアクセスが可能だ。欧州委員会はこのデータベースを世界規模の海洋データネットワークに発展させるための提案を行う。

これらの提案された行動は今後、各加盟国とEU理事会で、および欧州議会で協議される。

『EU MAG』の関連記事
循環型経済を牽引する「ブルー成長」と「資金支援」2016年9月号 特集 PART 2

原文はこちらをご覧下さい(英語)。
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-16-3619_en.htm

Twitter: @EU_MARE URL