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世界難民の日に寄せる共同声明

EU News 166/2015

2015/06/20
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<日本語仮訳>

世界難民の日にあたり、フランス・ティーマーマンス欧州委員会第一副委員長(より良い規制・機関間関係・法の支配・基本権憲章担当)、フェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長、ネベン・ミミツァ国際協力・開発担当欧州委員、ディミトリス・アヴラモプロス移民・内務・市民権担当欧州委員、クリストス・スティリアニデス人道援助・危機管理担当欧州委員は、以下の声明を発表した。

「日々、何千もの人々が、暴力を逃れ、国内外に避難する場所を求めて、自らの家を追われている。多くの人々は、いつ再会できるかわからないまま、家族を残して行き、学業や仕事もあきらめざるをえない。

紛争が長引く中、大規模な避難が続き、その数は増える一方だ。世界全体で、6千万人が紛争を逃れて避難しているが、これは第二次世界大戦以来の規模である。欧州は、見て見ぬふりをすることはない。逃れてきた人々の多くが、安住の地を求めて欧州の海岸にたどりつこうとしている時、見てみ見ぬふりができるわけはない。

地中海の危機的状況、そしてEU国境に不穏が発生したことを受け、欧州委員会は、5月、移民管理を改善させるためのEU対応を打ち出した。それは、直近の救命の必要性から、パートナー諸国との協力による根本的原因への対応、密航斡旋業者の取り締まり、EUの庇護制度および国境強化の長期的措置まで、連鎖する要因の全てを網羅し、EU官庁・施策を最大限に活用し、加盟国、EU機関、国際機関、市民社会、地方政府、第三諸国など、あらゆる関係者を動員する内容である。この提案をEU首脳陣が協議する欧州理事会を1週間後に控え、結束と責任が今最も求められている。首脳たちが我々の強い意欲に見合う決定を下してくれることを、期待する。

こうした努力の一環として、欧州委員会は、人々が航海に適さない船に乗って命を危険にさらすことなく、欧州に到着することができるように、合法的な経路の開設を検討している。今後2年間で、欧州域外からの2万人の難民が再定着できるようにすることを、EU全体として公約するとの欧州委員会の提案に、加盟諸国が従うことを求めている。必要な人々に保護を提供することは、世界的な責任であり、レバノン、ヨルダン、トルコなど、既に人口に占める難民の比率がかなり大きくなっている国々への負担軽減にも、つながる。

EUは、国境を越えた地域においても、難民や国内避難民の支援と、自らの家からの避難を余儀なくしている紛争そのものの解決において、先頭を走っている。EUは、33カ国において難民と避難民に人道援助を提供しているとともに、EU開発援助が、受け入れ先の国々における難民を支援している。欧州委員会は、また、世界最大規模の援助を提供しており、開発基金から2億ユーロを拠出して進めているプロジェクトにおいて、開発途上国における難民を支援している。また、2014年において8億5,000万ユーロを超す人道援助を提供した。地域開発保護プログラムにおいても、国際的庇護を必要とする人々に、多くの場合国連難民機関(UNHCR=国連難民高等弁務官事務所)と緊密に連携しながら、避難場所を提供している。

不安定な事態がなくならない限り、人々は家を追われ、避難する場所を求める。この複雑な問題を解決することは容易ではないが、一つの国が単独で解決できるものでないことは、明白である。我々が日々、国際パートナーと協力して、安定を構築し、平和の維持に努めているのは、そのためである。

この世界難民の日に、欧州委員会は、欧州の指導者に向けて、難民危機を解決すべく、より強い結束と共通の責任に対するコミットメントの遂行を、求めたい。人々の命がかかっているのだ。EUは、全体として行動するという倫理的、人道的責務を負っている」

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原文はこちらをご覧下さい(英語)。
http://eeas.europa.eu/statements-eeas/2015/150620_01_en.htm

South Sudanese Refugees in Western Ethiopia Photo credit: EU/ECHO Martin Karimi URL