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第23 回 日EU 定期首脳協議 共同プレス声明

EU News 148/2015

2015/05/29

第23 回 日EU 定期首脳協議
平成27 年5月29 日,東京
共同プレス声明(仮訳)

安倍晋三日本国内閣総理大臣,ドナルド・トゥスク欧州理事会議長,ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長は,2015 年5月29 日,東京において,第23 回日EU 定期首脳協議を行い,以下の共同声明を発出した。

戦略的パートナーシップの発展に向けて

1 日本及び欧州連合(EU)は, 緊密なパートナーとして,共通の価値及び共有する原則に基づき,我々の市民及び世界にとって極めて重要な事項について共に取り組んでいる。我々は,日EU 関係の強化並びに地域及び世界の安全のためにより大きな責任を負うことを通じて,世界の平和,安全及び安定を構築するために共に行動している。我々はまた,日EU の協力を深め,共通の繁栄を促進する画期的な戦略的パートナーシップ協定(SPA)及び経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)を交渉している。

2 定期的かつ実質的な首脳及び閣僚級会合は,我々の関係の推進力となっている。我々は,本日,閣僚級での外交及び安全保障政策に関する政治対話の強化に一致した。また,アジア欧州会合(ASEM)やASEAN 地域フォーラムといった地域・地域間の枠組みにおける協力を強化する。日本は,EU が東アジア首脳会議に対してより大きな関与を行うことへの関心を引き続き有していることを歓迎し,EU の同地域における法の支配の促進に向けた努力を確認する。

3 SPA とEPA/FTA は,日EU 関係を新たな戦略的な水準に高める潜在力を有する。我々は,双方の交渉の進捗を歓迎し,交渉者に対し,並行して双方のプロセスを更に加速するよう指示する。SPA は,今後数十年にわたる法的拘束力を有する基礎となるものである。我々は,戦略的パートナーとして,双方の関心が一致する全ての分野,日EU に関する事項のみならず,グローバルな課題について,協力を強固にし,深化させ,拡大することを希求する。日EU を合わせた際の世界経済の中での重要性と国際的な地位に鑑みれば,これらの事項について共にリーダーシップを示すことは,我々の共通の関心と責任である。我々の強固かつ変化する貿易経済パートナーシップを確固たるものとし,将来への道を開くため,高度に包括的かつ野心的なEPA/ FTA が可能な限り早期に締結されることの重要性を再確認する。そうした協定は,とりわけ,物品,サービス及び投資並びに鉄道を含む調達における市場アクセスに関連する問題とともに,非関税措置並びに地理的表示及び知的財産権の保護に関連する問題に対処する。このために,我々は,我々の交渉官に,望むらくは2015 年末までに,すべての主要課題を含む合意に達することを目指し,未解決の懸隔点を解決するための権限を付託した。

4 本日,我々は,双方の経済で成長と雇用創出の原動力となる研究及びイノベーションにおける戦略的パートナーシップを強化するための共同ビジョンを承認した。我々はまた,第5世代移動通信ネットワーク(5G)の研究開発に協力する。

世界の平和と安全のため,共に行動する

5 2015 年は第二次世界大戦後70 年,ヘルシンキ最終文書採択後40 年という節目の年にあたる。この文脈において,我々は和解と地域協力の重要性について考え,これまでの70 年間にわたる日本とEU 双方の国際社会の平和,安定と繁栄への貢献を認識した。我々は,民主主義,法の支配,人権といった共通の価値及び開放された市場,ルールに基づく国際制度といった共有する原則に基づき,この分野において,世界及び地域レベルで更に協力と連携を強化していくとのコミットメントを再確認した。

6 我々は,危機管理における協力を含む平和と安全保障の分野における日EU 協力とパートナーシップの広がりを歓迎する。EU は, 日本の国際協調主義に基づく「積極的平和主義」に示された世界の平和と安全の促進と維持における取組を歓迎し,支持する。 我々は,昨年からのニジェール及びマリの治安改善のためのミッションに関する日本とEU の協力及びコンゴ民主共和国での取組が成功裏に行われていることを振り返った。我々は,次のステップとして,ウクライナとソマリアにおいて,更なる協力を模索することにコミットした。2015 年に東京で開催された政府・軍関係者の共同セミナーでは,我々が共に築いている前向きな実績を評価し,双方の安全保障政策についての相互理解を深め,今後の協力の可能性について探求した。我々は,このような協議を継続し,今年,防衛省とEUの間で開催される協議を歓迎する。最後に,我々は,日本の将来的なCSDP ミッションへの参加の可能性について,そのために必要な措置及び日本が提供できる専門性を念頭に置きつつ,議論した。

7 我々は, あらゆる形態のテロ行為を強く非難し,また,中東,アフリカ,欧州及びアジアにおけるISIL/Da’esh を含むテロ組織による昨今の攻撃を非難する。我々は,国連,グローバル・テロ対策フォーラム及びG7を通じたあらゆるテロ対策のための国際協力を支持し,関連する国連安保理決議の完全な履行に取り組む。我々は,人権と個人情報を保護しつつ,リスクを軽減し,国境の安全を強化するための措置を追求しつつ,日EU 間のテロ対策に係る協力を強化する。我々は,テロと闘い,防止するために利用できる全ての手段を活用し,第三国との能力強化に向けた取組について調整する必要性を再確認する。また,テロ資金供与の防止,検出及び訴追の重要性を強調する。日本とEU は,国連安保理決議第2178 号に従い,外国人テロ戦闘員に対処する決意を有する。

8 我々は,サイバー,宇宙及び海洋というグローバル・コモンズにおける法の支配を確保する重要性を強調する。この文脈において,我々は,2014 年10 月に東京で第1回日EU 宇宙政策対話及びサイバー対話が開催され,関係者がそれぞれの政策を共有し,今後あり得る進め方を特定したことを歓迎する。自由な情報の流通と開かれたインターネットに基づく安全で安定したサイバー空間を含む共通の立場を基礎として,我々は,セキュリティの側面についても議論され得る次回対話が2015 年にブリュッセルで開催されることを楽しみにしている。我々は,宇宙活動に関する国際行動規範に関する交渉を2015 年末までに終了させることに強くコミットしている。我々は,海賊対処活動に関する協力が,ソマリア沖及びアデン湾における関連する国際コンタクト・グループにおいて,また,自衛隊部隊とEU アタランタ作戦部隊とのオペレーション活動を通じて,具体的に継続していることを歓迎する。これは,海上での共同訓練,ならびに現在セーシェルで拘束されている海賊容疑者に関する裁判への日本からの支援を含む。

9 我々は,軍縮・不拡散について,核兵器のない世界という共通の目標を実現するために更に協力する決意を再確認する。2015 年NPT 運用検討会議においてコンセンサスの成果は得られなかったが,日本とEU はNPT 体制の信頼性の維持・強化及び多国間主義への信頼の持続のために協力すること引き続きコミットする。我々はまた,包括的核実験禁止条約の早期発効及び兵器用核分裂性物質生産禁止条約の早期の交渉開始に向けた取組を含め,更に協力する決意を再確認する。我々は,武器貿易条約の発効を歓迎し,その効果的な実施と普遍化に取り組むことに引き続きコミットする。我々は,特に緊張状態にある地域における,武器及び汎用品並びに技術の厳格な輸出管理を確保することにコミットする。

10 地域の安全保障環境における不確実性に鑑み,我々は,全ての国際法及び主権と国家の領土保全の原則の違反を非難する。我々は,全ての当事者が,海洋に関する権利の主張について,国際的に認知された法的紛争解決メカニズムの利用を含め,平和的で協調的な解決策を追求すべきであり,国連海洋法条約に記されているように,国際法に基づく公海の航行と上空飛行の完全な自由を維持する必要性を強調する。航行の安全は,平和で持続可能な開発にとって不可欠である。我々は,全ての当事者に,国際法に基づいて主張の根拠を明確化するよう求め,また, 力による威嚇,力の行使又は強制を含む一方的な行動を控えることを強く求める。我々は,東シナ海及び南シナ海の状況を引き続き注視し,現状を変更し緊張を高めるあらゆる一方的行動を懸念している。我々は,2002 年の南シナ海における関係国の行動宣言の完全で効果的な履行を支持するとともに,効果的な南シナ海における行動規範の策定に係る交渉の早期妥結を支持する。我々は, この観点から危機的状況における直接的な連絡手段や危機管理メカニズムの構築といった,実際的な信頼醸成手段の建設的な役割を強調する。

11 我々は北朝鮮による核・弾道ミサイル開発の継続に対して深刻な懸念を表明し,北朝鮮に対し,関連する全ての国連安保理決議の下での義務及び2005 年の六者会合共同声明の下でのコミットメントを遵守し,NPT 及びIAEA 保障措置協定の完全な履行に立ち戻り,拉致問題を含む人権侵害を終わらせるための措置を直ちに取るよう強く求める。これらの目的に向け,北朝鮮が建設的な取組を行うことを強く求める。

12 我々は,ウクライナにおける紛争の平和的解決のために,全ての当事者に対し,同国の主権及び領土の一体性を尊重しつつ,ミンスク合意の下でのコミットメントを完全に履行することを求める。我々は,ロシアによる違法なクリミア「併合」を決して承認しないとの固く決意をしたままであり,ウクライナ国民のための同国の強化と近代化に向けた改革を進めるためのウクライナ政府への支援を継続する。我々はまた,EU の東方パートナーシップの文脈において,また,西バルカン及び黒海地域において,各国の近代化に向け,双方の政策を調整し,協力の新たな機会を探っていく。

13 我々は,シリアにおける人道及び治安状況の悪化に強い懸念を表明し,ジュネーブ・コミュニケと関連国連安保理決議に基づくシリア人主導の包括的な政治的移行のみが,紛争を終結させることを改めて確認する。シリアの全ての当事者に対し,信頼醸成措置を伴う政治プロセスに対するコミットメントを示すよう呼びかける。我々は,ISIL/ Da’esh を壊滅させるためイラクに対する支援を継続することにコミットする。我々は,全てのイラク人に対し,国民融和に向けて積極的に取り組み,より包括的なガバナンスを促進するための改革を引き続き前進させるよう奨励する。イエメンにおける治安及び人道状況の悪化を受け,イエメンの全ての勢力に対し,国連主導の交渉を通じ,暴力に訴えることなく,包括的な政権移行プロセスの再開にコミットすることを求める。イランの核問題に関し,「包括的共同作業計画」の主要な要素について解決に至るための集中的な外交努力の重要な進展を歓迎する。リビアの紛争につき,我々は,軍事的な解決策は存在せず,政治的解決のみが持続可能な今後の方策を提供することを再確認する。我々は,リビア当事者に対し,4 月27 日にUNSMIL が提示した政治的合意に向けた提案に基づく共通認識を見出すために,最大限の努力を行うよう呼びかける。我々は,イスラエル・パレスチナの紛争が,イスラエルと,独立し,民主的で,隣接し,主権を有し,自立可能なパレスチナが,平和裏かつ相互に承認した形で共存するための交渉を通じてのみ解決できると信じている。我々は,平和的な解決の利益を当事者双方が完全に享受できるよう,特に経済面で双方当事者との関係強化を図る用意がある。改めて,国際紛争及び問題は,平和裏に国際法に従って解決されるべきだとの日EU の共通の確信を強調する。我々は,二国家解決をおびやかす入植政策の継続に懸念を表明する。我々は,双方に対して交渉を再開させるための措置をとることを呼びかける。

成長,繁栄及び持続可能な開発を進める

14 我々は,気候変動がもたらす深刻で緊急な問題を認識する。我々は,この12月にパリで,全ての締約国に適用される,野心的で,強固で,包括的な,変化する国際情勢を反映し,世界の平均気温の上昇を産業革命以前のレベルから摂氏二度未満におさえる軌道に世界を乗せるための国際合意を採択するために然るべき役割を果たす決意がある。この合意は,全ての締約国がそれぞれのコミットメントについて負う透明性と説明責任について十分な規定を含む必要がある。合意は,国連気候変動枠組条約の究極的な目的を実施する一方で,気候変動の影響への適応に取り組み,緑の気候基金の効果的な活用を含め,変革のために必要な規模の気候資金の動員を後押しする必要がある。また,締約国がコミットメントを実施するための国際協力を促すべきである。我々は,特にSPA を通じて気候とエネルギーに関する二国間協力を強化し,関連する国際場裏において更に緊密に取り組む。

15 我々は,それぞれの既存の約束を実施し,2020 年以前の更なる緩和の機会を探り続ける。2020 年後を見据え,2度目標に向けた国際的な努力においてリーダーシップを発揮することを決意し,EU は新たな合意に向けたEU の自主的に決定する約束草案の適時性及び野心度を説明し,日本は迅速に野心的な約束草案を提出する意図を確認した。我々は,既に約束草案を提出した締約国,特に最少の責任と能力を有する国を称賛する。我々は,他の全ての国,特に主要・新興経済国に対し,迅速に約束草案を提出し,公平性と科学の要求を基礎とし,透明性と説明責任を促進する方法で提示することを呼びかける。

16 我々は,安定的,持続的,廉価な価格でかつ安全なエネルギー供給の重要性を認識し,低炭素で気候に優しい経済を実現するための様々な温室効果ガス排出削減措置を取ることを決意している。日本とEU は外部のエネルギー源に決定的に依存しているため,持続可能なエネルギー供給確保のために重要な事項について,日EU エネルギー政策対話を含め,協力を強化していく。我々は,ハンブルクG7 エネルギー大臣会合(2015 年5 月11-12 日)の共同声明を歓迎する。我々は, 核融合エネルギーの実現に向けた次のステップのための多国間のイーター(ITER)計画と日EU 間の「幅広いアプローチ活動」を通じた核融合エネルギー研究,及び核分裂に係る研究開発に関する日EU パートナーシップを強化する。

17 我々は,ジェンダーの平等の必要性と,女性の社会と経済への完全な参加の重要性を改めて強調する。女性のエンパワーメントと女性の権利を全世界で推進するための日EU 協力を強化する。女性が輝く社会に向けた国際シンポジウムを含め,我々は,女性が平等な機会を得る社会に向けた協力を進めることに同意する。EU は,日本が女性のエンパワーメントを重視していることを歓迎し,この分野におけるグッド・プラクティスを共有する用意がある。また,日本とEU は,持続可能な平和と安全,及び持続可能な開発を達成するため,国際的に女性の活発で意義のある参加を促進する重要性を強調する。

18 主導的な開発ドナーかつパートナーとして,我々は,野心的で貧困撲滅と持続可能な開発に整合的に取り組むポスト2015 年開発アジェンダに合意することに完全にコミットしている。またこのようなアジェンダは,人間の安全保障の側面が不可欠な,平和と安全,民主的ガバナンス,法の支配,ジェンダーの平等及び人権を促進する必要があり,それなしには持続可能な開発はなし得ない。同アジェンダは,ミレニアム開発目標(MDGs)を踏まえ,極度の貧困を終息させ,MDGs で残された課題を解決すべきである。我々は,2015 年9月のサミットにおいて,新興経済国を含む全ての他のパートナーが衡平な貢献を担うことを期待し,革新的な成果が得られるよう,共に尽力を続ける。世界的なインフラの不足に効果的に対処することは,成長の引き上げにとって重要であると認識し,我々は,国際開発金融機関や民間セクター等の関係者とのパートナーシップの下での効果的な資金動員を含め,質の高いインフラ投資を進めていくことにコミットしている。日EU 間では,これまで安全保障と持続可能な開発の関連について,アフガニスタンでの信託基金を通じた協力をはじめ,緊密に協力している。昨年の日EU 開発政策対話を踏まえ,既にジブチ,ケニア及びザンビアで実施しているようなアフリカにおける3者間協力の進展を歓迎し,我々は,質の高い成長や人間の安全保障の推進に向けたアジア及びアフリカにおける協力の可能性を追求する。

19 我々は,第3回国連防災世界会議の成功を歓迎する。我々は,最近のネパールでの地震を含め,知見と意見の交換を引き続き緊密に行い,開発プログラム及び人道支援に防災を組み込む重要性を強調する。この文脈において,我々は,人道支援と緊急救援に関する専門家会合を開催することを決定した。

20 我々は,海,陸,空における移民の密入国及び人身取引は犯罪であり,重大な人権侵害であると考える。我々はそれらと闘い,不正規移住の政治的,社会経済的な要因に対処することを目指す。我々は,密入国,人身取引及び強制労働を防ぎ,関係する犯罪集団を破滅させ,かつそれらの資金機会を絶つための協力における密入国及び人身取引の出身国,通過国及び目的国の責任を強調する。我々はかかる試みに決意を有する国を支援する用意がある。我々は全ての国に対し,関連する国際約束の促進を含め,そのための国際的取組を促すよう求める。

21 我々は,バランスと現実主義の原則に基づいたドーハ・ラウンド交渉(DDA)の妥結により,WTO の下で多角的貿易体制を強化することへのコミットメントを再確認する。我々はまた,多角的貿易体制を強化する情報技術協定(ITA)拡大交渉,新たなサービス貿易協定(TiSA)交渉,環境物品協定(EGA)交渉を含め,複数国間(プルリ)交渉の具体的な成果を達成することにコミットしている。我々は,あらゆる形態の保護主義に対抗する決意を強調する。

22 我々は,成長,雇用,競争力を促進し,我々の共通の社会的課題に対処するために,科学技術イノベーションにおける戦略的パートナーシップを構築した。前回日EU定期首脳協議以降の同分野における協力の拡大を踏まえ,本日,第3回日EU 科学技術協力合同委員会で採択された日本政府と欧州委員会の間で研究及びイノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップに向けた共同ビジョンを承認した。また,本日,日EU 協力の実質的な協力拡大が想定されるテーマ別分野-情報通信技術,航空,希少原料を含む材料分野,健康,環境,エネルギー及び高エネルギー物理-を強調した。我々は,研究イノベーションプロジェクトの共同ファンディングのための新たなメカニズムの確立や日本学術振興会と欧州研究評議会との間の協力取り決めを含む研究者交流を促進するための措置などの,この前向きなモメンタムを継続する具体的な行動の重要性を確認した。我々は, オープン・サイエンスなどの科学技術イノベーション政策について,意見交換し,可能な範囲で調和させることの重要性を認識する。我々はまた,日本のホライゾン2020 ナショナル・コンタクト・ポイントの建設的な役割,及び我々の協力への市民の理解と参加の促進を図るアウトリーチ活動の価値を認識する。

23 我々は,日本,特に福島から輸出される食品及び飼料中の放射性核種に関して未だに継続している制限的措置,並びにEU域内からの豚肉,牛肉及び家禽製品のアフリカ豚コレラ,BSE 及び鳥インフルエンザに関する措置を科学的に見直すよう取り組む。

24 日EU の戦略的パートナーシップは,幅広い分野に及ぶ強固な日EU 間の対話及び協力によって推進されている。我々は,昨年の定期首脳協議以降に成功裏に開催された産業,ICT,運輸及び雇用に関する対話を含め,以下の分野における最近の進展を歓迎する。

-2015 年3 月に開催された日EU 産業政策対話は,政府と民間の双方が関与する規制協力を深めることを強調し,これは日・EU ビジネス・ラウンドテーブルにも歓迎された。我々は,この協力がEPA/FTA 交渉を通じても扱われることに留意しつつ,日EU 間の規制協力における更なる進展に対する大きな期待を表明する。

-2015 年3 月に開催した日EU・ICT 政策対話では,マルチステークホルダー・モデルのインターネットガバナンスに基づいたオープンで革新的なデジタル経済の確保と発展の重要性を再確認した。世界的な相互運用性を確保し,研究活動の連携を強化させる5G に関する日EU 共同声明の署名を歓迎する。

-2014 年12 月及び2015 年5 月に開催された日EU 鉄道産業間対話では,鉄道分野における国際的なビジネス・チャンスについて議論された。我々は,この分野について世界的に主導的アクターである日EU の間で,公的部門及び民間部門それぞれにおいて,技術的規格を含め,更なる協力の意義を認識する。我々は,この対話が,双方の市場の更なる開放性と,グローバル市場における共同行動につながるものであると確信する。

-2014 年6 月に開催した日EU シンポジウムでは,日本とEU の政府関係者,労働者代表及び使用者代表の間で,「労働における変化の中での事業再構築予測」と「事業再構築のマネジメント及び将来的課題」についての理解を深めた。

-2012 年10 月に開始され継続されている日EU 航空対話は,この分野における強固なパートナーシップに向けた日EU 共同の取組を進める上で重要となる。

-日本とEU は,持続可能な森林経営及び持続可能な漁業資源の利用並びに野生動植物製品の違法取引対策に関し,日EU 間又は国際機関を通じた協力を継続する。

我々は,また,日EU 間の経済関係を更に発展させる上で,日EU ビジネス・ラウンド・テーブル(BRT)の積極的で継続的な貢献の重要性を確認し,2015 年4月にBRT が採択した提言を歓迎する。

将来の協力のための相互理解の促進

25 我々は,人的・文化交流と高等教育に関する協力が,相互理解を深め,知的交流を推進し,より幅広い人々の参加を得るために不可欠であることを認める。EU のエラスムス+プログラム,マリー・スクロドヴスカ・キュリー・プログラムは,日EU 間の優秀な学生,研究者及び職員間交流の新たな裾野を広げる。安倍総理は,2015 年度中に欧州から150 名の大学,大学院生を日本に招待する「日欧MIRAI プログラム」を発表し,EU 首脳は更なるパートナーシップ強化に向けた可能性を歓迎した。我々は,学生交流促進のための相互支援を含め,市民社会及び文化人間の交流の重要性を認識する。

我々は,昨月の充実した第35 回日EU 議員会議をはじめ,議員間交流を歓迎する

(了)

関連資料

- 記者発表時のドナルド・トゥスク欧州理事会常任議長のコメントはこちら(英語

- 記者発表時のジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長のコメントはこちら(英語

- 第23回日EU定期首脳協議において承認された日本国政府と欧州委員会の間の研究・イノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップ(PDF)

- 日本国政府と欧州委員会との間の研究・イノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップに向けて (PDF)

- 日本学術振興会(JSPS)と欧州研究評議会(ERC)との日本人若手研究者の欧州派遣に関する実施取決めの締結について (PDF)

原文はこちらをご覧下さい(英語)。
http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-15-5075_en.htm

2015 EU Japan Summit (C)EU, 2015 URL