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第22回 日・EU定期首脳協議 共同プレス声明

EU News 204/2014

第22回 日EU定期首脳協議
平成26年5月7日、ブリュッセル
共同プレス声明(仮訳)

~ 世界の平和と繁栄のため、共に行動するEUと日本 ~

安倍晋三日本国内閣総理大臣、ヘルマン・ファン=ロンパイ欧州理事会議長、ジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ欧州委員会委員長は、2014年5月7日、ブリュッセルにおいて、第22回日EU定期首脳協議を行い、以下の共同声明を発出した。

1 我々、日本国及び欧州連合の首脳は、既存の優れた協力に立脚し、我々のパートナーシップを強化するために、本日、ブリュッセルにおいて協議を行った。力強く長期持続的で活発な我々の関係は、民主主義、法の支配、人権といった共通の価値及び開放された市場、ルールに基づく国際制度といった共有された原則に基づくものである。

日EU関係

2 これらの共通の価値及び共有された原則に基づいて、我々は、幅広い分野におけるパートナーシップを拡大、強化させ、変化するグローバルな課題に共に取り組むことを求める。我々は、長期にわたる日EU間の戦略的なパートナーシップを想起しつつ、今後数十年にわたる、政治的で、グローバルな、そして分野別の、より深い協力のための健全な基礎となる、包括的な分野を対象とする戦略的パートナーシップ協定の締結に向けた決意を再確認する。この約束を履行するに当たり、我々は交渉者に野心を維持し、可及的速やかに交渉を妥結するよう課す。

3 我々は、日EU間の貿易及び経済関係の強化の重要性、ならびに、この点で、取り分け物品、サービス及び投資における市場アクセス、鉄道を含む調達、並びに、非関税措置に関連する問題に効果的に対処することにより、極めて重要な役割を果たし得る、高度に包括的かつ野心的なEPA/FTAの早期の締結の重要性を再確認する。我々は、物品貿易において、市場アクセスのオファーが交換されたことや、他の分野においても着実な進展がなされたことを歓迎する。我々は、調達、並びに、サービス貿易及び投資における野心的な市場アクセスのオファーの早期交換に向けた決意を改めて表明する。

4 我々は、昨今の世界経済の改善の兆し、取り分けEU及びユーロ圏における経済成長の回復、並びに、日本における持続的な成長を歓迎する。我々は、EUの経済政策における主要な優先事項、すなわち競争力、成長及び雇用の促進並びに経済通貨同盟の強化を目標とする構造改革の実行を認識する。我々は、安倍政権の経済政策である「アベノミクス」の成果に留意し、取り分け大胆な規制・構造改革を目標とする、強化された成長戦略の観点から、日本経済の展望について意見交換を行った。

5 我々は、日EU経済関係の更なる発展に対する日・EUビジネス・ラウンドテーブル(BRT)の積極的かつ継続的な貢献を認識し、様々なグローバルな課題に取り組むべく関係を一層強化するため、取り分けBRTを通じた双方の産業界との協力を促進するとの決意を再確認する。我々は、関税、非関税措置、調達、投資、サービス、競争、知的財産権、地理的表示及び規制協力が含まれるべき「重要な懸案事項の解決に、EU・日本両政府が、より一層注力し、包括的、野心的、ハイレベルかつ互恵的なFTA/EPAを可能な限り早期に締結するよう再度要請する」との、4月にBRTによって採択された提言を歓迎する。我々はまた、日EU・EPA/FTAの早期実現を全力で支援するとのBRTの決意に強く勇気づけられた。

6 我々は、アジア及び欧州諸国間の対話と協力のためのフォーラムとしてのアジア欧州会合(ASEM)を高く評価する。我々は、他のASEM参加国と共に、「持続可能な成長と安全保障のための責任あるパートナーシップ」とのテーマの下にミラノで10月16日及び17日に実施予定のASEM第10回首脳会合において、共通の関心事項に取り組むことを楽しみにしている。

7 我々は、分野別の対話及び協力において順調な進展が見られたことを確認し、満足している。これらは以下の分野を含む。

(1)自由でオープンなインターネットの重要性に鑑み、我々は、第2回ICTセキュリティ・ワークショップや研究・開発における第2回共同公募の成功といった取組を通じて、情報通信技術分野における日EU協力が着実に進展していることに勇気づけられる。

(2)我々は、治安、安全、石油依存、エネルギー効率、温室効果ガスなどの共通の挑戦に対処する上で中心的な分野となる運輸面での協力の強化を目指す。我々は、協力の拡大に関する共通の利益を探るため、航空に関する対話を継続していく。我々は、海運の質、公平な競争の場と開放された市場を促進するために、日EU海事政策対話を通じた緊密な連携を継続していく。我々は、取り分け日EU鉄道産業間対話の文脈において、鉄道分野におけるグローバルなビジネスの機会を推進するよう努める。

(3)WTO貿易円滑化協定の交渉妥結を受け、我々は、正当な貿易取引を円滑にするため、税関当局間及び世界税関機構(WCO)を通じた緊密な協力の必要性を強調する。更に我々は、そうした協力を通じサプライ・チェーンの安全を確保することの重要性について再確認する。我々は、認定事業者制度(AEO)の相互承認の実施やリスク管理などの税関分野の更なる協力を進展させていく。

(4)我々は、世界経済のグローバル化を考慮し、競争法の執行におけるこれまでの協力を歓迎し、2003年の反競争的行為に係る協力に関する日本国政府と欧州共同体との間の協力の規定に基づき、この分野における更なる関係の促進のための取組を進展させることについての関心を示した。

(5)2014年4月の日EU政策産業対話の成果を歓迎しつつ、我々は、日EU双方における更なる経済成長を達成すべく、産業政策に関する協力を深めることの重要性を再確認する。我々はまた、同対話の枠組みにおいて、取り分け自動車分野を始めとする国際基準の適切な適用を通じた適合性及び調和を目指して、強制規格、任意規格及び適合性評価手続における協力を強化する意思を強調する。

(6)日EU双方にとっての安定的、持続的、低廉な価格でかつ安全なエネルギー供給の重要性を認識し、我々は、エネルギー協力の強化に資する対話の必要性を強調する。我々は、透明で流動性のあるガス市場の発展の促進のために引き続き協力するとともに、第3回LNG産消会議も含めて、更なる進展が達成されることを期待する。我々は、2014年5月5日及び6日にローマで行われたG7エネルギー大臣会合の共同声明を歓迎する。我々は、エネルギーの安定供給を高めるため、関連する分野における協力を強化するよう努める。我々はまた、日EUが、核融合エネルギーの実現に向けた完全な成功のためのイーター(ITER)計画及び幅広いアプローチ活動に関する協力を強化する旨再確認する。

(7)日本又はEU域内から輸出される食品及び飼料中の放射線核種に対する制限措置が残されていることに留意しつつ、我々は、貿易に対する不必要な障壁を解消するために、食品及び飼料中の放射線核種の水準に関するデータ、並びに、食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関するコーデックス一般規格の原則に基づき、これらの措置を科学的に見直すよう取り組む。

(8)人物交流及び高等教育における協力は、特に若者の間で、相互の文化に親しみ、相互理解を深めるために不可欠である。EUが出資するエラスムス+プログラムにおいて、人物交流を促進するための新たな取組を行い、これまで実施してきたダブル・ディグリー・プログラム及び学生間、研究者間、職員間の交流を通じて発展してきた日EU間の学術協力を深めることができる。マリー・スクロドヴスカ・キュリー・プログラムは、日EU間の研究者交流を支援している。EUインスティテュート・イン・ジャパンは、相互理解を高め、幅広い聴衆と関与し、日EU間の学術交流を強化する。更に、我々は、本年5月に日本で開催される欧州留学フェアや、本年11月にロンドン、パリ等で開催される予定の日本留学フェア等の、日EU間の学生交流を促進するためのイベントを相互に支援することを決定した。

8 我々は、マクロ経済政策、金融規制、雇用、環境、漁業を含む幅広い分野・領域における日EU間の揺るぎない協力を強調する。分野別の対話及び協力は日EUの成長と雇用の創出に貢献し、よって日EU関係の重要な要素となる。

グローバルな課題

9 我々はブリズベン・サミットにおいて発表される予定の包括的な成長戦略も含め、G20におけるコミットメントに従って、強力で、持続的で、バランスが取れ、かつ、包摂的な成長を確保する政策の重要性を強調する。我々は、引き続き、財政の持続可能性を確保し、G20/OECDの税源侵食・利益移転(BEPS)プロジェクト、及び、自動的情報交換のための新しい単一の国際基準を通じて、租税回避及び脱税に対抗するというG20における野心的な議題とともに、金融部門の改革を完全に実行することにコミットしている。

10 第9回WTO閣僚会議の成功に引き続き、両首脳は、野心的な形での、貿易円滑化協定(TFA)に関する閣僚決定における作業の時宜を得た完了及び同協定の速やかな実施に向けて協力することを決定した。我々は、貿易交渉のドーハ・ラウンドを妥結させるよう取り組み、現実的かつバランスの取れたポスト・バリ作業計画を策定すべくWTOにおいて協力する。我々は、可能な限り早期に情報技術協定(ITA)拡大交渉を妥結するとともに、開かれ、かつ野心的な新サービス貿易協定(TiSA)交渉、及び、環境物品に関するイニシアティブを前進させることを決意する。それらはみな、多角的貿易体制の下での自由化に貢献する。我々は、あらゆる形態の保護主義に対抗する決意を再確認する。

11 我々は、気候変動がもたらす問題の深刻さについて同意する。我々は、日EUが主導的な役割を果たす国々の中にあり、世界の平均気温の上昇を産業革命以前のレベルから摂氏二度以内におさえる軌道に世界を乗せるために世界の温室効果ガスの排出を削減する観点から、全ての締約国による緊急、大幅かつ持続的な温室効果ガスの削減が求められていることを認識する。また、我々は、約束された緩和行動と必要な世界的な野心レベルの間に重大なギャップがあることを認識する。それ故に、我々は、 2015年にパリで開催される国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、気候変動枠組条約の下で全ての締約国に適用される、条約の目的を達成する観点から、多国間のルールに基づくレジームを強化する、野心的な議定書、法的文書又は法的効力を有する合意成果の採択に向けて協力することを決意する。我々は、9月の国連事務総長による国連気候首脳会合の場で、また実効的な国内的・国際的行動を通じた必要なリーダーシップを示す用意がある。我々はそれぞれの既存の約束を実施するとともに、自主的に決定する約束草案のための国内準備を行い、COP21に十分に先立って(準備のできる国は2015年第1四半期までに)、そうするよう招請したCOP19における決定に基づき、自主的に決定する約束草案を示す。そうすることで、我々は、新たな合意における適切な透明性と説明責任を果たすことを促進する。我々は、エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム、G20、モントリオール議定書、気候と大気浄化のコアリションの場においても国際協力を強化する。

12 我々は、全ての人々にとってより安全な世界を作るために、軍縮・不拡散の分野における協力を一層強化する決意である。我々は、核兵器不拡散条約(NPT)遵守の重要性を強調するとともに、行動計画を含む2010年NPT運用検討会議の結論及び勧告に示された、行動計画及び提案されている中東非大量破壊兵器地帯設置に関する国際会議を含む全ての3本柱に関する活動の継続的な実施を促進する。我々は、次回2015年のNPT運用検討会議の成功に向けて、実質的な貢献をすべく協力する。NPTの全ての柱において進展が見られるべきであり、脱退問題に関するNPT加盟国間のコンセンサス形成もこの進展に含まれるべきである。この文脈において、我々は軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)及びEUによって提案された国連安全保障理事会の役割に焦点を当てることを含むNPTの脱退規定を強化する全ての努力を歓迎する。我々は、対人地雷全面禁止条約を促進し、特にリビア及びサヘル地域における小型武器及び軽兵器の不正な取引に対処し、そして、武器貿易条約の早期の発効と効果的な実施を強く求めていくための協力もしていく。特に緊張状態にある地域における、武器及び汎用品並びにそれらの技術の厳格な輸出管理の確保への決意を共有する。

13 我々は、原子力エネルギーの平和利用のための最高水準の安全性及びセキュリティを達成するために協力し、原子力安全に関する対話及び協力を強化していく。このことは、2014年にハーグで開催された核セキュリティ・サミットにおいて再確認されたばかりの目標を実施していくことを含むものである。我々は、世界的な核セキュリティ、原子力安全及び核不拡散を強化するため、国際機関及び第三国に対する人的、物的、財政的支援の提供者としての主導的役割を維持する。

14 我々は、成長、雇用、競争力を促進し、共通の社会的課題に対処するために、日EU間の科学技術及びイノベーション分野における協力が果たす多大な貢献を強調する。日EC(欧州共同体)科学技術協定発効以来の、特に希少原料、航空、情報通信技術などの主要な相互関心分野における進展を踏まえ、我々は研究及びイノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップを目指す。我々は、EUのホライズン2020プログラム、及び、日本の科学技術イノベーション総合戦略に関連して、新たな機会が提示されたことに留意する。我々は、取り分け相互の研究プログラムへのアクセスと参加といった課題に取り組むことを通じて、日EU協力の潜在力を最大限解き放ち、これにより、それぞれの科学的基盤の優秀さと世界をリードする研究及びイノベーション能力を反映させる決意である。我々は、前回の定期首脳協議によって委任され、4月に東京で開催された高級事務レベルの会合において、今後の研究協力を促進するためのより効果的かつ効率的なメカニズムについて意見交換を行い、これを模索したことに留意する。同会合における有意義な議論に基づき、今後の具体的な道筋を特定するために、対話が続けられる。

15 我々は、宇宙活動の安全、セキュリティ及び持続可能性の重要性を再確認し、2014年後半に東京にて日EU宇宙政策対話の第1回会合を開催することを決定した。我々は、宇宙活動に関する国際行動規範の採択に向けて協力を続けていく。

16 より深刻化し、拡散し、グローバル化したサイバー空間を取り巻くリスク及びオンライン上の人権の保護の必要性に直面する中、安全で開かれたサイバー空間の保護が必要である。この共通認識を踏まえ、我々は、日EU双方の広範な経験や知見の交換を通じてサイバー分野の協力を促進するため、日EUサイバー対話の立ち上げを決定した。

17 我々は、より安全で安定した世界に共同して貢献するために、危機管理における協力を含む平和及び安全保障の分野における日EU間の協力及びパートナーシップを強化する決意を再確認する。EU首脳は、国際社会及び地域のパートナーとの緊密な協力の下、EUをより効果的な安全保障の提供者とすべく、欧州理事会で示された安全保障及び防衛の分野における新しい方向性を説明した。 安倍総理は、EUとの間でより緊密な協力を予見する日本の国家安全保障戦略の主な内容を説明した。EU首脳は、日本が、国際協調主義に基づく、「積極的平和主義」に示された世界の平和と安全の促進と維持において、より大きな役割を果たすとの展望を歓迎し、支持する。これに関し、我々は、国連憲章に従って、海賊、テロリズム及び組織犯罪への対処などの分野において、世界の平和と安全を促進するために、具体的な協力を引き続き追求する。我々は、将来の参加の可能性やこの点に関する対話や研修の更なる強化を含め、日本がEUのCSDPミッションとの連携を強化する可能性を引き続き探求する。欧州連合軍事委員会議長による直近の日本訪問及び東京におけるCSDPセミナーの開催の見込みは、このような取組に資する。我々は、以下に示す日本の支援とEUのCSDPミッションの具体的な連携を含め、現場レベルでの既に緊密な協力を引き続き強化していく。

- バマコ平和維持学校への支援を通じたマリ国軍の能力強化

- マリにおける治安の改善、テロ対策法整備、司法協力の強化

- コンゴ民主共和国における警察官及び司法官の能力強化

- ニジェールにおける治安の改善、テロ対策法整備、司法協力の強化

ソマリア沖及びアデン湾における海賊対処活動における日EUの緊密な協力に基づき、EU首脳は、現地に展開するEUNAVFOR(ソマリア沖海賊対処アタランタ作戦)の部隊と日本の自衛隊との間で共同の海賊対処訓練を行うとの日本の提案を暖かく歓迎する。

18 我々は、各国国内事情や能力も考慮に入れつつも、普遍的で全ての国に適用される野心的なポスト2015年開発アジェンダの実現に向けて、全てのパートナー国と協力していく。我々は、貧困撲滅と持続可能な開発との間に相互に関係する課題に対して一貫して応えられ、また、人間の安全保障の側面が重要となる、平和及び安全、民主的ガバナンス、法の支配、ジェンダー平等、万人にとっての人権を促進するような、一組の目標を策定することを目指すべきである。我々は、国内資源及び民間の資金フローを含む全ての資源のより効率的な調達と活用に基づき、持続可能な開発に対する財政的手当てについての立場を更に調整していく。我々は、ポスト2015年防災枠組みの準備という文脈も含め、人道支援及び防災における日EU間の更なる協力と連携の重要性を強調する。

19 我々は、グローバルな開発政策の分野における更なる対話と連携の促進を目指す。我々は、年次の日EU開発政策対話を活性化させるとともに、同協議の第3回会合を、ポスト2015年開発アジェンダ、開発資金、女性のエンパワーメントの分野における政策調整をテーマとして焦点に当てる形で7月に開催することを決定した。本協議を通じた第5回アフリカ開発会議(TICADV)及び第4回EUアフリカ首脳会議のフォローアップは、アフリカのオーナーシップを完全に尊重しながら、アフリカに対する開発協力分野での日EU間の連携を強化するための枠組みを提供するであろう。

20 我々は、女性は社会及び経済における完全かつ平等な役割を果たすことが可能であり、また、そうなるべきであるとの見解を共有する。女性の完全なる参加は貧困撲滅、平和の促進、社会の活性化及び成長を促すものとなる。かかる共通認識のもと、我々は女性のエンパワーメントを世界的に促進するために協力を強化することへの決意を確認する。日本国政府は女性のエンパワーメントに関する重要な国際行事を本年後半に主催し、EU側の参加を呼び掛ける。EU首脳はこの分野における日本の強化された役割を歓迎し、この行事へのEUの参加を期待する。

地域情勢

21 我々は、双方の近隣地域及びそれを越えた領域において日EU双方にとって戦略的に重要な外交安全保障上の課題、及び、視点の収れんが相当程度みられる課題について、緊密な協力を追求する。我々は、国際紛争及び課題は力や強制ではなく、平和的かつ国際法に基づいて解決されるべきであるとする日EU間で一致した見解を再確認するとともに、安全保障に関連する協力を促進し、国際的な平和と安全の強化を行うことを決意する。

22 我々は、ウクライナ国民と、ウクライナ自身の未来を選択する権利を支持するとともに、ウクライナの主権及び領土の一体性に対する支持を維持することを約束する。我々は、クリミアを併合しようとするロシアの違法な試みを強く非難するとともに、これを承認しない。我々はロシアとウクライナが有意義な対話に関与することの重要性を改めて表明し、4月17日のジュネーブ合意及びウクライナ政府がこの関連でこれまでとってきた具体的行動を歓迎する。我々はロシアがジュネーブ合意を支持する具体的行動をとることを求めるとともに、ウクライナを一層不安定化するような更なる措置を控えるよう求める。我々は、関連するG7声明に従って、適切な場合には更なる対応をとる用意をしつつ、この危機の外交的な解決への扉は引き続き開いていることを強調する。我々は、支援も通じて、ウクライナを安定させ、改革を実行するためのウクライナ政府の努力を支持する。我々は、政府の構造を包括的で地域の多様性を反映させたものとし、少数民族に属する国民の完全なる権利の保護を提供するとしたウクライナ政府の約束を歓迎する。我々は、5月25日に、自由かつ公正なウクライナにおける大統領選挙が実施されることを強く支持する。

23 我々は、その他の東方パートナーシップ諸国による持続可能な民主主義及び市場経済への移行を支援していく決意を再度表明する。我々は、EUの東方パートナーシップの文脈において、これらの国々の近代化を支援するべく、引き続き、双方の行動を調整していく。また、西バルカン及び黒海などの他のEU近隣地域についても、更なる協力を追求していく。

24 我々は、チュニジアにおける新憲法の採択と新政府の任命を伴った民主主義への移行の大幅な進展を歓迎するとともに、本年末に予定されている総選挙に期待する。3月にリビアに関するローマ閣僚級会合で決定されたとおり、我々は、リビアが安定、民主主義への移行、広範で包摂的な国民対話と和解を達成できるよう、リビアへの協調された支援を強化する。

25 我々は、イスラエルと平和と安全のうちに共存する自立可能なパレスチナ国家を樹立するという最終合意に達することを目的とした、イスラエル・パレスチナ間の交渉を完全に支持する。我々は、双方に対して、交渉のプロセスを害し得る全ての決定を避けるよう求める。合意に達した暁には、我々は和平合意の履行と持続性を確保するための実質的な貢献を行う用意がある。

26 我々は、イランの核計画に対する国際社会の懸念に応える、交渉を通じた解決を目指すアシュトン上級代表及びE3/EU+3の集中的な外交努力による重要な進展を歓迎する。EU首脳は、これに関連して日本によるE3/EU+3の行動に対する支持及び日本のイランへの建設的な関与に謝意を表明した。我々は、共同作業計画に明記された暫定合意の履行が、最も差し迫った懸念に対応する最初の信頼醸成措置であることを強調する。今後の取組は、イランの核活動の完全な平和的性質を確保する、包括的かつ最終的解決の作成に焦点が当てられなければならない。我々は、イランの核計画に関する軍事的側面の可能性を含む全ての未解決の問題の解決に向け、イランがIAEAに完全に協力するよう要請する。我々の取組は、イランの核計画に関連する全ての懸念が完全に払拭されるまでは、今後ともデュアル・トラック・アプローチに基づき継続する。我々はまた、人権状況の改善と、そのためにイランが国際社会に対して完全に協力することを要請する。

27 我々は、シリア及び周辺諸国における人道状況の悪化、そして、その多くが切望している支援へのアクセスがない数百万人のシリア国民に苦しみをもたらし続けている受け入れがたいレベルの暴力に対して、強い懸念を表明する。暴力の波及とともに懸念すべき多数の外国人兵士がシリア紛争に参加していることが地域全体の安定を脅かしている。我々は、国連安保理決議第2139号の完全な履行を要請するとともに、全ての当事者に対して、人道的アクセスが妨害されることなく確保されるよう要請する。実現可能な部分があれば、我々はあらゆる手段を行使して、政府の支配が及んでいない地域への支援を増強及び調整する決意がある。我々は、ジュネーブ2会議の次回ラウンドを再開し、双方がジュネーブ・コミュニケの枠組み内で、自由で公正な選挙の実施を含む真の政権移行に向けた計画に着手するという真剣な関与に繋げることを求める。国連安保理決議第2118号及び関連する化学兵器禁止機関(OPCW)の決定に定められた時間軸で化学兵器が完全に廃棄される必要がある。我々はまた、シリア国内の暴力に終止符を打ち、深刻な人権侵害への説明責任を果たすことを追及するために、国連の人権関係諸機関を通じてシリアの状況を提起し続ける。

28 我々は、大統領選挙の実施がアフガニスタンの国民にとって、同国における民主的な政権移行、安定及び発展を更に促進する上で、歴史的な機会となることを歓迎するとともに、全ての利害関係者に対し、投票の安全性及び正当な結果を確保するよう求める。「相互責任に関する東京フレームワーク」を完全に実施することが最も重要であり、我々は、本年後半に閣僚級フォローアップ会合を実施することを楽しみにしている。人権の保護、取り分け女性及び子供の権利の保護が引き続き重要である。高い水準の国際的な支援を維持するために、我々は確かな治安対策を必要としている。選挙後、地域の安全、安定及び発展を進める方途として、我々は、特に「アジアの核心」イニシアティブなどの地域協力の再活性化を進めていく。2014年3月にドゥシャンベにて実施された第4回日EUタジキスタン・アフガニスタン国境管理会合の成功を踏まえ、我々は国境管理分野における協力も継続していく。

29 東アジアの安全保障が広範囲に影響を及ぼすことに留意するとともに、その安全保障環境が不確実性を増していることを考慮しつつ、我々は、国連海洋法条約に明記されている公海における航行及び上空飛行の自由を引き続き確保し、航行の安全を確保し、緊張を高めるおそれのある、強制力の行使を含むいかなる行動も控えることの必要性で一致する。我々は、国際法の原則に基づき、かつ積極的な外交的関与を通じた平和的解決及び相互の信頼醸成を追求する必要性を強調する。また、我々は、効果的な危機管理の手続き及び対話のメカニズムが突発的な緊張の高まりを避けることに資するという見解を共有する。

30 我々はASEANを支持するとともに、アジアにおける強固で効果的な多国間安全保障枠組みを設立する上でのASEANの中心的な役割を支持する。このために、日EUは、引き続きASEAN地域フォーラム(ARF)において積極的かつ建設的な役割を果たす。我々は、ASEAN及び中国による実効的かつ法的拘束力のある行動規範の早期締結に向けた努力を強く支持する。大陸規模の地域統合及び平和と安全の促進におけるEUの経験を認識し、安倍総理は、EUが東アジア首脳会議に対してより大きな関与を行うことへの関心を引き続き有していること、及び、地域枠組みへの関与を通じたものも含め、同地域の平和と安全の促進に実質的に貢献する意思を有していることを歓迎する。

31 我々は、ミャンマーにおける民主化、国民和解及び経済改革に向けた包摂的かつ実質的な進展を歓迎する。我々は、社会、政治及び経済発展、そして2015年に実施予定の選挙が信頼に足り、包摂的かつ透明性のあるものとなることを確保するための憲法上の改革及び選挙改革を引き続き支援する。我々は、ミャンマー国内に居住する全ての少数民族を含む市民を暴力から保護し、人権や基本的自由の全面的な尊重を確保する必要性を強調する。

32 北朝鮮の核・ミサイル計画は、引き続き国際的な平和と安全に対する深刻な脅威である。我々は、北朝鮮による3月の弾道ミサイル発射を強く非難し、深刻な懸念を表明する。我々は、北朝鮮に対して、自制し、全ての核兵器及び既存の核計画を完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で放棄し、核のない朝鮮半島における持続的な平和と安全に向けて取り組むため、国際社会、特に六者会合メンバーとの建設的な関与を再開するよう要請する。このため、我々は、北朝鮮に対し、国連安保理決議の下での義務及び2005年の六者会合共同声明の下での約束を遵守するよう要請する。また、我々は、北朝鮮に対し、核兵器不拡散条約(NPT)の下でのIAEA保障措置協定を遵守し、包括的核実験禁止条約に遅延なく署名及び批准することを要請する。我々は、国連調査委員会(COI)の報告書に記述されているとおり、多くの場合人道に対する罪を含み得る、北朝鮮における組織的、広範かつ深刻な人権侵害を非難するとともに、北朝鮮に対し、拉致問題を含む人権侵害を終えるため速やかな措置をとるよう要請する。我々は、北朝鮮に対し、国連北朝鮮人権状況特別報告者に全面的に協力し、普遍的・定期的レビュー(UPR)に建設的な形で参加するよう要請する。

33 我々は、ASEM、G7/G8、G20といった国際場裏における日EUの連携の重要性を強調し、首脳レベルを含む緊密な接触を引き続き継続していくことを期待する。我々の目的は、日EU協力を拡大し、戦略的パートナーシップを強化し、日EU及び世界の市民のために平和で繁栄した未来という共通のビジョンを実現することにある。

   (了)

原文はこちらをご覧下さい(英語)。
http://www.consilium.europa.eu/uedocs/cms_Data/docs/pressdata/en/ec/142520.pdf

EU/Japan Summit. Akie Abe, Shinzō Abe, Herman van Rompuy and José Manuel Barroso (from left to right) Date: 06/05/2014 Reference: P-025551/00-12 Location: Brussels - Chateau of Val-Duchesse (C)EU, 2014 URL