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トゥスク欧州理事会議長、EUの一員としての英国に向けた改革案を示す

EU News 35/2016

2016/02/02
ブリュッセル

<日本語仮抄訳>

ドナルド・トゥスク欧州理事会議長は、他の理事会メンバーに対し、以下の書簡を送った。

「欧州連合(EU)の一体性を維持することは、我々全員にとって最大の課題であり、それゆえに私の任務の主要目的である。このような精神に基づき、EUの一員としての英国のあり方に対する新たな解決案を提示した。私としては、この提案は、デービッド・キャメロン英国首相が表明した全ての懸念を相当払拭したと考えている。しかしながら、欧州統合という取り組みの礎となる諸原理を崩してはいない。

私は、我々が共有する利益が、我々を分断するものよりはるかに強力であると心の底から思っている。『共に生きるべきか、死ぬべきか』というのは、英国国民が国民投票を通じて答えを出さなければならない問題のみならず、この2週間で他の27のEU加盟国も答えなければならない問いかけである。

これまでの過程は困難であり、この先にも厳しい交渉が待ち受けている。全てについて合意が形成されるまで、何も合意されない。私は、この提案が妥協のための良い土台であると確信している。この提案はまた、欧州委員会の緊密かつ良好な協力なくして日の目を見ることはあり得なかった。この流れの円滑化のために、欧州委員会は、この提案に含まれている政治的な声明も行った。

今回の提案の4つの柱全てについて、簡単に説明したい。

経済のガバナンスについて、この提案――EU首脳の決定案――は、経済通貨同盟(EMU)のさらなる深化に参加するEU加盟国とそうでない加盟国の間の相互尊重を確保するための原則を打ち出している。これを通じて、ユーロ圏内のさらなる統合への道を開きつつ、参加しない加盟国の権利や権限を保護することができる。

これらの原則の遵守は、非ユーロ圏の懸念に対し必要な保証を与える一方で、拒否権や、緊急を要する決定の遅れを生じさせないメカニズムを創設するという決定案に裏打ちされている。このメカニズムを作動させるための具体的な条件については、まだ協議する必要がある。

競争力について、EU首脳の決定案は、より詳細な欧州理事会声明と、欧州委員会声明案と併せ、EUの競争力を高めるための努力を強化する決意を示すとしている。また、面倒な役所的手続きが削減されるよう、EU法制の簡素化や企業の負担軽減について、進捗状況を定期的に評価する。

主権について、EU首脳の決定案は、EU条約の下での英国の特殊な立場に鑑み、同国はさらなる政治統合に参加する義務はないことを確認している。決定案はまた、補完性の原則の尊重を強化しており、私は各EU加盟国に対し、補完性を根拠として複数の加盟国議会が反対している法案については、表明された懸念が払拭されない限り、検討を停止するよう提案したい。第21および第22議定書の選択的離脱に関する規定の尊重および各国の安全保障上の責任も強調される。

社会保障給付金と移動の自由について、我々は、特に移動の自由と非差別の原則など、現行のEU条約を完全に尊重しなければならない。それゆえ、英国の懸念に対する提案は、移動の自由の乱用阻止に関するいくつかの問題に関する欧州委員会声明を含む、現行ルールの解釈の明確化を土台としている。

今般のEU首脳の決定案は特に、子ども手当ての輸出と、他の加盟国からの労働者の例外的な流入に対応するためのセーフガード措置の創設について、欧州委員会がEU法の改正を提案するつもりであることに留意している。欧州委員会の声明案も、このような措置に関係している。この手法およびそのような措置の具体的な適用期間について、我々首脳レベルでさらに協議する必要がある」

原文はこちらをご覧下さい(英語)。
http://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2016/02/02-letter-tusk-proposal-new-settlement-uk/

From left to right: Mr Donald TUSK, President of the European Council; Mr David CAMERON, UK Prime Minister. Shoot location: LONDON - UNITED KINGDOM Shoot date: 31/01/2016 Copyright: No commercial use. Credit 'The European Union' URL